大阪地判平6・4・25交民27巻2号514項

将来の職業選択の可能性を考慮して顔面醜状・歯牙・構音障害について逸失利益を認めた事例

幼児(男性・事故時5歳)が、道路に飛び出し、普通乗用車と衝突した事故で、外貌醜状12級13号、歯牙障害12級3号の併合11級に認定されたが、これらの障害は労働能力の喪失に結びつきにくいのであるが、将来の職業選択、収入を減じたりする可能性もあること、構音障害がある程度残存することも斟酌して、18歳から67歳まで平均して10%の労働能力の喪失を認めた(等級基準では20%)。歯牙障害について、歯冠に問題がなくとも、歯根が著しく形成不全で、そしゃく機能が害されているもので将来補綴が必要不可欠な歯についても、同様に「補綴があった」に相当すると判断し後遺障害を認め、将来の歯牙の矯正、補綴費用については将来抜歯、補綴処理を行う可能性が極めて大きいことから、これを認めた。他方、将来の顔面形成手術の費用については、顔面形成手術を経れば、現在認められる後遺障害よりも症状が緩和されるものであるから、後遺障害を前提とした請求と形成手術の費用の両方が認めると障害を二重に考慮することになるとして否定した。また、そしゃく機能障害については、歯牙の障害によるものであって、顎骨骨折や下顎骨折の開閉運動制限等の他の原因によるものではないから、歯牙障害において評価すれば足りるとして否定した。後遺障害慰謝料については、被害者が20歳になる頃までの7年余、矯正及び補綴のために歯科への通院を継続しなければならないこと等を考慮して400万円を認めた。

後遺障害と労働力喪失率表

後遺障害第11級の場合、一般的の労働能力喪失率は下記では20/100となりますが、本件は20%から18歳から67歳まで平均して10%の評価となったものです。

後遺障害等級 労働能力喪失率 後遺障害等級 労働能力喪失率
第1級 100/100 第8級 45/100
第2級 100/100 第9級 35/100
第3級 100/100 第10級 27/100
第4級 92/100 第11級 20/100
第5級 79/100 第12級 14/100
第6級 67/100 第13級 9/100
第7級 56/100 第14級 5/100

後遺障害の慰謝料

第11級の後遺障害慰謝料は、下記表では、裁判所基準では420万円となりますが、400万円の評価となった。

等級 自賠責保険基準 裁判所基準
第1級 1,100万円 2,800万円
第2級 958万円 2,370万円
第3級 829万円 1,990万円
第4級 712万円 1,670万円
第5級 599万円 1,400万円
第6級 498万円 1,180万円
第7級 409万円 1,000万円
第8級 324万円 830万円
第9級 245万円 690万円
第10級 187万円 550万円
第11級 135万円 420万円
第12級 93万円 290万円
第13級 57万円 180万円
第14級 32万円 110万円

「赤い本より」

自賠責基準は、交通事故被害者に最小限の補償をするために設けられた慰謝料の基準です。

裁判所基準は、裁判所の判例などを基に、弁護士が損害賠償請求をする際に目安となるよう作成された基準であり、慰謝料に関する3つの基準の中で高めになっています。金額はあくまでも請求の目安で、裁判もこの金額で認められるわけではないことを理解しておいて下さい。

(注)
・上記金額には、入通院治療費等と休業補償などは含まれておりません。
・過失相殺はないものとします。
・上記内容の後遺障害慰謝料は、大阪地判平6・4・25の原告とは無関係となります。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼すれば、裁判所への代理人出廷や保険会社との交渉も弁護士が行ってくれます。交通事故のあらゆる被害で損をしないためには、弁護士に依頼されることをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか?慰謝料については、保険会社から費用負担が少ない示談金の提案がありますので、金額が妥当なのか?初めての事故などで、分からないと思います。こんな場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。弁護士相談費用が無料の掲載事務所を多く掲載していますのでご安心下さい。まずは、弁護士に相談しましょう!

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