名古屋地判平19・9・21交民40巻5号1205項

自賠責により併合12級(複視14級相当、左足関節機能障害)12級7号と認定された後遺障害について、就労や日常生活に支障が生じ、事故後の給与が半額程度とされているなどを考慮して、労働能力喪失率を11級相当の20%が相当と認めた事例

被害者(女性・固定時31歳・会社員)が、被害車両に同乗し、交差点を直進中、右折しようとした加害車両(自動二輪)が衝突し、被害車両がガードレールに衝突した事故。判決では、後遺障害の程度と逸失利益について、左足の後遺障害により、階段の昇降、しゃがみずらい等の種々の支障が生じ、左眼窩内側壁骨折による複視と左眼周辺の痛み、流涙等により、パソコン操作等の事務処理上の業務がしづらく、また、自動車の運転がしづらく等種々の支障が生じているとし、これらの後遺障害により、労働能力が相当程度低下し、事故後の就労時間が制限され、給与も事故前に比べて半額程度とされている状況にあること等を考慮して、労働能力可能年齢である67歳に至るまで、労働能力を20%喪失したものとして算定するのが相当とした。また、上記後遺障害により、就労上、日常生活上、多大な苦痛を被っているとして、将来の保険金の受け取り等を総合考慮し、後遺障害慰謝料として420万円を認めた

逸失利益の計算

逸失利益とは、後遺障害が残ったことで、本来受け取れるはずだった利益のことです。
計算式は【逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数】で求めます。

逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率× ライプニッツ率

例えば、上記の判例の被害者が、31歳(女性)とした場合、逸失利益と慰謝料の計算を説明すると

被害者項目 詳細
年齢 31歳
年収 400万円
労働能力喪失率 20%
後遺障害等級 併合12級相当
ライプニッツ係数(67歳までの36年間で算出) 16.5469

逸失利益=

基礎年収400万円×20%×16.5469=13,237,520円(今回の判例をシュミレーション)

逸失利益で13,237,520円となります。

労働力喪失率表

本件は、後遺障害第12級の場合、一般的の労働能力喪失率は上記では14/100となるが、本件では14%→20%を認めた。

後遺障害等級 労働能力喪失率 後遺障害等級 労働能力喪失率
第1級 100/100 第8級 45/100
第2級 100/100 第9級 35/100
第3級 100/100 第10級 27/100
第4級 92/100 第11級 20/100
第5級 79/100 第12級 14/100
第6級 67/100 第13級 9/100
第7級 56/100 第14級 5/100

労働能力可能年齢である67歳に至るまでの36年間と認めた。

労働能力喪失期間(年) ライプニッツ係数
30 15.3725
31 15.5928
32 15.8027
33 16.0025
34 16.1929
35 16.3742
36 16.5469
37 16.7113
38 16.8679
39 17.0170
40 17.1591

逸失利益の計算方法は

後遺障害の慰謝料

第12級の後遺障害慰謝料は、下記表では、裁判所基準では290万円となり本件は420万円を認めたものです。

等級 自賠責保険基準 裁判所基準
第1級 1,100万円 2,800万円
第2級 958万円 2,370万円
第3級 829万円 1,990万円
第4級 712万円 1,670万円
第5級 599万円 1,400万円
第6級 498万円 1,180万円
第7級 409万円 1,000万円
第8級 324万円 830万円
第9級 245万円 690万円
第10級 187万円 550万円
第11級 135万円 420万円
第12級 93万円 290万円
第13級 57万円 180万円
第14級 32万円 110万円

「赤い本より」

自賠責基準は、交通事故被害者に最小限の補償をするために設けられた慰謝料の基準です。

裁判所基準は、裁判所の判例などを基に、弁護士が損害賠償請求をする際に目安となるよう作成された基準であり、慰謝料に関する3つの基準の中で高めになっています。金額はあくまでも請求の目安で、裁判もこの金額で認められるわけではないことを理解しておいて下さい。

(注)
・上記金額には、入通院治療費等と休業補償などは含まれておりません。
・過失相殺はないものとします。
・上記内容は、シュミレーションであり、名古屋地判平19・9・21の原告とは無関係となります。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼すれば、裁判所への代理人出廷や保険会社との交渉も弁護士が行ってくれます。交通事故のあらゆる被害で損をしないためには、弁護士に依頼されることをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか?慰謝料については、保険会社から費用負担が少ない示談金の提案がありますので、金額が妥当なのか?初めての事故などで、分からないと思います。こんな場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。弁護士相談費用が無料の掲載事務所を多く掲載していますのでご安心下さい。まずは、弁護士に相談しましょう!

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