鼻の後遺障害としては、以下のものがあります。
欠損障害:鼻がなくなった
機能障害:鼻呼吸が困難となった
脱失・減退・機能障害:嗅覚がなくなった
傷害の程度 | 等級 |
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの | 9級5号 |
鼻の欠損について
鼻の欠損とは、大きく区分すると外鼻と鼻腔とに分けられます。外鼻は顔の中央部の三角錐の部分で、その上半分は鼻骨、下半分は軟骨で形成されています。このうち外鼻の軟骨部の全部又は大部分を欠損したものが、鼻の欠損の対象となります。
鼻の欠損は、その程度により、外貌醜状(外貌に著しい醜状を残すもの7級12号、外貌に相当程度の醜状を残すもの9級16号、及び外貌に醜状を残すもの12級14号)として認定されることがあります。鼻の欠損と外貌醜状は、それぞれの併合することなく、いずれか上位の等級によることとなります。
機能障害について
鼻の欠損を伴わない機能障害(嗅覚脱失、鼻呼吸困難)は後遺障害等級表上、定められておりませんが、以下のように判断されます。
嗅覚脱失とは、T&Tオルファクトメーターによる基準嗅覚検査の認定域値の平均嗅力損失値が5.6以上の場合をいいます。この場合12級相当
鼻呼吸困難とは、鼻の欠損を伴わない場合であっても、鼻呼吸困難の障害を残す場合をいいます。この場合12級相当
嗅覚の減退とは、T&Tオルファクトメーターによる基準嗅覚検査の認定域値の平均嗅力損失値が2.6以上 5.5以下の場合をいいます。この場合14級相当
裁判例
減収のない電池製造業務に従事する会社員の嗅覚脱出につき、67歳まで労働能力喪失率14%の逸失利益を認めた事例
嗅覚脱出を自賠責の認定どおり12級相当と認め、労働能力喪失率を後遺障害別等級表の対応喪失率以上の20%とした事例
まとめ
鼻の後遺障害についていかがでしたでしょうか。
後遺障害は、保険会社に言われるままに進めることなく、正しい知識を持って取り組んでいただければと思います。それには、交通事故問題に特化している弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士に依頼するメリット
後遺障害の等級に関して、弁護士に依頼することは様々なメリットがあります。ひとつは慰謝料が増額することであり、もうひとつは後遺障害の等級級数があがる可能性があることです。
適切な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高い
交通事故の案件を多く取り扱う弁護士であれば、後遺障害診断書の書き方、提出する画像の種類、実施すべき検査など、豊富な認定経験をもとに有効な戦略を得られます。
自分で保険会社と戦う場合よりも、適切な後遺障害等級認定を受けられる確実性はかなり高まるでしょう。
慰謝料増額の可能性が高まる
弁護士による交渉は裁判所基準を前提として行います。そのため、弁護士に依頼した場合、任意保険基準よりも高い水準で交渉が行われることになり、結果的に補償額が上がる可能性があります。
交渉や書類作成を弁護士に任せられる
もし入院や通院ともなれば、病院に行って治療をしなければならないし、何かと不便な生活を強いられる可能性があります。そんな状況になる一方で、保険会社との交渉や必要書類の準備を強いられ治療に集中することもできませんし、治るものも治らないという状況になることも考えられます。
弁護士に依頼することで慰謝料が数百万円以上増える可能性
慰謝料には「自賠責基準」「任意保険基準」そして「弁護士(裁判所)基準」という3つの基準がありますが、過去の裁判例を参考にする裁判所基準が最も高額な慰謝料を獲得する事ができます。
この裁判所基準による慰謝料を獲得するには、交通事故が得意な弁護士に依頼する事で、慰謝料が数百万円以上増額する可能性があります。
後遺障害者等級 | 自賠責保険基準 | 任意保険基準 | 裁判所基準 |
第1級 | 1,100万円 | 各保険会社が独自に定めていますが、自賠責保険基準よりやや高いが、ほぼ同額がほとんどです。 | 2,800万円 |
第2級 | 958万円 | 2,370万円 | |
第3級 | 829万円 | 1,990万円 | |
第4級 | 712万円 | 1,670万円 | |
第5級 | 599万円 | 1,400万円 | |
第6級 | 498万円 | 1,180万円 | |
第7級 | 409万円 | 1,000万円 | |
第8級 | 324万円 | 830万円 | |
第9級 | 245万円 | 690万円 | |
第10級 | 187万円 | 550万円 | |
第11級 | 135万円 | 420万円 | |
第12級 | 93万円 | 290万円 | |
第13級 | 57万円 | 180万円 | |
第14級 | 32万円 | 110万円 |